バランス・スコアカード(BSC)は、1992年にKaplan&Nortonの論文により、米国で誕生した。誕生した理由として企業を取り巻く諸条件として
①供給が需要を上回り、大量生産がものをいう時代が過ぎ、スケール・メリットが必ずしも活かせない時代になった。
②品質と価格だけでは競争優位性を獲得できない。
③部門固有の技術を特化させることではなく、部門を横断し統合化した業務プロセスで、企業経営をしなければならない。
④顧客層が変化し、他の人と一味違ったものを求めるようになっている。
⑤国境は、もはや参入障壁ではなく、グローバル経営が要求されている。
⑥イノベーションが成功の決め手になっている。
⑦将来が必ずしも過去の延長線上にあるとは限らず、将来を予測することが難しい時代である。
これらは、現在の日本企業を取り巻く経済環境に、非常に酷似している。最近の企業に対する評価は、財務データのみならず、非財務データも重要視されるようになっている。
①戦略の実行
②経営に対する信頼性
③戦略の質
④イノベーション
⑤才能のある魅力的人材
これらの非財務データの中で最高の要因は、戦略の実行であると指摘されている。この「戦略の実行」を確実に実現するのが、BSCである。そのメリットとして
①人の心を奮い立たせ、ビジョンを効果的に実現する戦略を立案する。
②企業レベルの戦略目標と各組織レベルの目標を整合させる。
③戦略の優先度を企業のステークホルダーに明確に伝達する。
④経営資源を戦略の優先度に応じて配分する。
⑤戦略の実行を迅速かつ効果的に実現するために、実行結果を測定・評価する。
BSCは、将来が必ずしも過去の延長線上にない時代にあって、問題点の克服と、現在の企業に期待されているニーズに応える目的で開発された、戦略志向のマネジメント・システムである。
出典:吉川武男 バランス・スコアカード構築より
これからの経営ツールとしてのITもBSCの考えに沿った導入が最も重要であると考えます。
次回は、その具体的な内容を記して見たいと思います。